どのような本？

『グロービスMBAマーケティング（改訂4版）』は、マーケティングの基礎知識と用語について学ぶための本だと感じました。マーケティングを「買ってもらえる仕組みの構築」と定義し、マーケティングの意義、市場調査と抽出方法、戦略の種類や立て方、分析およびリサーチの方法について書かれています。

読む目的

• 好奇心として、マーケティングとはどういうものなのかを知りたい。
• マーケティングについての基礎知識を学び、デザインをよりビジネスに活用したい。
• 経営者やマーケティング担当者との共通言語を知りたい。
• サービスを展開、開始するときにどんなことに気を付けたり、意識したら良いかを知りたい。

読む前に期待していたこと

• マーケティングについての全体像を捉えられそう。
• デジタルメディアを活用したマーケティングのメリット、デメリットなどを知ることができ、何かを提案するときの材料として活用できそう。
• 経営者、マーケティング担当者、プロジェクトリーダーとビジネスについて話す際の共通言語を知ることができそう。

感想・重要だと感じたこと

ユーザーインターフェイス設計の考え方とも共通点が多い

• 日常的にやっていることや考えていることが、実はマーケティング活動の一部だったのでは。
• マーケティング用語を用いていないだけで、考え方や概念は普段から取り組んでいることに近そう。この本で書かれている「顧客」を「ユーザー」と言い換えかえることで、よりイメージしやすい場面もあった。
• 例えばWebサイト構築における、目的設定、戦略立案、リサーチ、分析、施策選定、仮説、検証などプロセスと共通点が多い。

組織づくりとも共通点が多そう

• マーケティングの考え方は組織づくり、チームの成長方法とも共通点が多そう。
• 例えば、目的を設定し、ユーザーの声を聞き、戦略を練り、リサーチ・分析をし、具体的な施策を実施するといった流れ。効果を検証し、持続的な仕組み（オペレーション）を整え、継続的に改善につなげていく。この過程は多くの場面で共通していそう。
• そもそもマーケティングが「買ってもらえる仕組みの構築」なので、マーケティングが企業の組織づくりを包含しているともいえる？
• ブランド戦略における感情的価値は、信頼性とも表現できそう。

顧客の満足を起点に考える

• 顧客ニーズ、顧客満足が中心。顧客が対価を払っても良いと感じられる価値をどのように提供するか、その仕組みをどうつくるかが重要。
• 商品そのものの満足は、顧客の体験への満足を表さない。購入時の状況、どのような環境で使ったか、使ったときの満足度、使用後のサポートの満足度など、総合的な体験価値で満足度を測る。
• 何を実現したいのか明確にする。自社の課題を洗い出し、優先順位をつける。

製品のライフサイクルについて

• 製品のライフサイクルにおいて、時期によって取る戦略を変える必要がある。ランチェスター戦略との共通点がありそう。

概念や構造を参考にしたい

• 共通言語として代表的な用語を知ることは役立つ場面はありそう。
• その一方で、用語を覚えることよりも概念や構造などの共通点を他のことに活用できないかと考えることのほうが効果的かもしれない。
• 情報量が多く、1度読んだだけで理解したり身に付いたりする内容ではないと感じた。迷ったときや考え方のきっかけが欲しいときに、振り返りとして活用する本だと思った。

今後に活かしたいこと

顧客の満足を起点に考える

• マーケティング戦略は顧客の満足を起点に考える。
• 顧客満足を高めながら、企業利益を高めていく仕組みづくり。ユーザーを主語にするのと似ている。
• 現場での体験が重要。1次情報を体験として得ることに意味がある。
• 顧客が求めるものは何か？ 選ばれるためには何をするのか？ 顧客の満足を中心に考え、顧客に寄り添った共感が必要。サービス提供者の事情や都合を優先させない。

データとして意識するポイント

• 損益計算の数値を意識する。いくらで、どれくらいの量を、いつまでに。
• 意識するポイントが参考になった。特に人口動態、経済、業界、政治、文化。これらの変化を予測して対応し続ける必要性。
• 次のことを元にして、自社の強みと弱みを明確にする。経営戦略、企業文化、製品特性、市場シェア、マーケティング戦略の長所・短所、人的資源、トップのリーダーシップ、資金力。

最も良い製品だと認識してもらうこと

• 大事なのは、顧客にとって「最も良い製品であること」ではなく「最も良い製品だと認識してもらうこと」。
• 他社が打ち出していないポジショニングの訴求力は強い。

アンケートで注意すること

• リサーチ過程でアンケートをする場合には、欲しい回答のための質問になっていないかを注意する。選択肢に漏れと重複が無いことを意識する。

顧客を尊重している気持ちが伝わるように

• 顧客の心理や感情を予想して、丁寧に寄り添うことが大事だと意識したい。
• 顧客を尊重している気持ちが伝わるように。

関連用語メモ

ニーズ（Needs）

「こうしたい」という目的。顧客（ユーザー）が何らかの欲求を抱いている状態であり、満たされていない状態。こちらをまず明らかにすることが重要。

ウォンツ（Wants）

解決するための手段。具体的な製品、サービスが欲しいという欲求。リサーチをするとこちらが挙がりやすいが、そもそもの目的をまず明らかにする必要がある。

セグメンテーション（Segmentation）

共通するニーズを元に市場を意味のある集団に分けること。

ターゲティング（Targeting）

有効と思われるセグメントを選ぶこと。

ポジショニング （Positioning）

ターゲット顧客に、自社の製品をどう認知してもらいたいかを決めること。