簿記3級を学習していく過程で、用語の意味を振り返るためのメモをまとめていきます。簿記を学んでいる途中であり、記載内容が誤っている可能性があります。
借方・貸方における「資産・負債・純資産・収益・費用」の分類
借方(かりかた / Debit) ※左側
- 資産の増加(例:現金の受け取り、売掛金の発生)
- 負債の減少(例:借入金の返済、買掛金の支払い)
- 純資産の減少(例:自己株式の取得、繰越利益剰余金の減少)
- 収益の取消(例:売上の返品、売上値引)
- 費用の発生(例:給与の支払い、仕入の計上)
貸方(かしかた / Credit) ※右側
- 資産の減少(例:現金の支出、売掛金の回収)
- 負債の増加(例:借入金の発生、買掛金の計上)
- 純資産の増加(例:資本金の増加、利益剰余金の増加)
- 収益の発生(例:売上の計上、受取利息の発生)
- 費用の取消(例:仕入返品、減価償却費の振替)
借方・貸方の考え方や整理方法
借方は「使ったもの」、貸方は「集めたもの」として捉えると理解しやすい(お金の流れをイメージする)
借方(使うもの / Using Resources)
- 資産(現金・建物など) :会社が保有しているもの
- 費用(給与・広告費など):会社が支出したお金
貸方(集めたもの / Collected Resources)
- 負債(借入金など):他人から借りたお金
- 純資産(資本金・利益など):会社が持つ自己資本
- 収益(売上など):会社が稼いだお金
「増える側」と「減る側」をセットで考える
増える側(プラス)
減る側(マイナス)
総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう / General Ledger)
企業や組織の全ての勘定科目ごとの取引を記録・整理する帳簿(主要簿)のこと。
何のために用いるか?
- 取引の記録と整理:仕訳帳から転記されたデータを勘定科目ごとに整理することで、資産、負債、純資産(資本)、収益、費用の動きを明確にする。
- 財務諸表の作成:貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)を作成するための、基礎データとして活用される。
- 経営分析・財務管理:会社の財務状況を把握し、経営判断に役立てる。
- 税務申告や監査対応:正しい会計処理(法律や会計基準に従って取引を記録・分類・報告すること)をおこなうことで税務申告の際の根拠となり、監査にも対応しやすくなる。
総勘定元帳の構成(基本的な記載項目)
- 日付(取引日)
- 摘要(取引内容の簡単な説明)
- 借方金額
- 貸方金額
- 残高(各勘定の累計)
仕訳帳(Journal / General Journal)と総勘定元帳(General Ledger)の役割
- 仕訳帳:全ての取引を時系列順に記録する(取引の生データ)
- 総勘定元帳:仕訳帳のデータを勘定科目ごとに整理する(財務諸表の基礎)
- 最終的に、総勘定元帳をもとに財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を作成する。
売掛金(うりかけきん / Accounts Receivable / AR) ※資産勘定
- 企業が商品やサービスを提供した際に、まだ代金を受け取っていない金額のこと。
- 「後払い未回収の代金」を指す。
- 簿記や会計では「流動資産」として扱われる。
なぜ資産勘定なのか?
- 売掛金は「将来的にお金を受け取れる権利」を意味するため。
- 現金はまだ手元にないが、受け取りが確定しているため資産として扱う。
英語表記について(Accounts Receivable / AR)
- Accounts = 勘定
- Receivable = 受け取るべきもの
- よって、Accounts Receivableで「まだ受け取っていない代金」を指す。貸借対照表(Balance Sheet)では、流動資産(Current Assets)として表示する。
- ビジネス文章や英文会計では「AR」と略されることも多い。
買掛金(かいかけきん / Accounts Payable / AP) ※負債勘定
- 商品やサービスを購入した際に、まだ支払っていない代金(債務)のこと。
- 企業が取引先から商品を仕入れたときに、後払い(掛取引)で支払う場合に発生。
- 通常、1年以内に支払う義務がある短期負債として扱われ、貸借対照表の負債の部に計上される。
なぜ負債勘定なのか?
- 将来の支出が確定しているため、負債に分類される。
- 買掛金は、既に商品やサービスを受け取っている一方で、支払いがまだ済んでいない状態。
- 今後必ず現金などで支払いをおこなう義務があるため、負債(Liablities)として計上する。
立替金(たてかえきん / Advance Payment) ※資産勘定
- 会社が従業員や取引先など、本来は相手が負担すべき金額を一時的に立て替えた際に使用する勘定科目。
- 将来的に相手から返済を受けることを前提とした支出を処理するためのもの。
- 簿記・会計上では資産(流動資産)として計上される。
なぜ資産勘定なのか?
- 将来的にお金を受け取る権利があるため。
- 立替金は一時的に支払った相手から必ず返してもらえるお金なので、流動資産として処理される。
利益剰余金(りえきじょうよきん / Retained Earnings)
定義・性質
- 企業が過去に得た純利益のうち、配当などで株主に分配されず、内部に留保された部分。
- 利益の一部は配当として株主に還元されるが、残りは留保され、次期以降の事業投資や経営の安定化に活用される。
発生源
- 当期純利益から配当を差し引いた後の利益、または当期純損失から配当を差し引いた後の損失。
- 過去の累積利益から、配当やその他の処分項目を差し引いた残り。
例
- 売上高(一定期間の売上の合計額)から各種費用を差し引いた結果の利益が、企業内部に蓄積されたもの。
資本剰余金(しほんじょうよきん / Capital Surplus)
定義・性質
- 資本金以外の、株主からの出資や資本取引に伴って生じた剰余部分。
- 新株発行時の払込金額が資本金の額面(定款記載の額面)を上回った部分(株式発行プレミアム)などが含まれる。
発生源
- 新株発行時に、額面以上の価格で株式を発行したときの差額。
- 資本取引や増資活動によって生じた剰余金。新株発行時に得た額面を超える部分が資本剰余金として計上され、これが企業内で管理される。
例
- 額面が100円の株式を150円で発行した場合、差額の50円が資本剰余金として計上される。
利益剰余金と資本剰余金の違い
- 利益剰余金:企業の事業活動の結果として、内部に蓄積された利益。
- 資本剰余金:株主からの出資などの資本取引によって生じた、資本金以外の剰余資金。
定款(ていかん / Articles of Incorporation)
- 会社や団体がその運営をおこなうために必要な、基本的なルールや規定を定めた文章。
- 具体的には、会社の目的、事業内容、組織構成、役員の選任方法、株式の権利、利益の配分方法を記載する。
- 日本の会社法では定款は会社設立時に必ず作成し、公証人の認証を受ける必要がある場合もある。
- 会社や団体の「憲法」や「基本契約書」として機能し、その活動の枠組を定める重要な役割を果たす。
定款のメリット
- 会社運営の指針:定款には会社がどのような事業をおこなうのか、どのような経営がおこなわれるのかが記載されており、経営者や社員は運営方針を理解しやすくなる。
- 外部との契約の基盤:会社がどのような目的で事業をおこなっているのかを示す証拠となり、取引先や金融機関との信頼関係の構築に役立つ。
- 株主・経営者のルール:定款に基づき、株主総会の決議方法や経営陣の責任が明文化されていることで、意見対立時に法的に安定した判断基準を提供する。
- 法的効力:定款は法的効力を持ち、会社やその株主に対しての拘束力がある。これにより定款に記載された内容が守られない場合、法的措置を講じることができる。
額面(定款記載の額面 / Par Value)
- 株式発行時に会社が定款(会社の基本ルールを定めた文章)で定めた、1株あたりの最低価格(額面の額が株式の価値とは必ずしも一致しない。またその差額が資本剰余金として計上される)。
- 例えば、ある会社の定款で「1株あたり100円」と定められている場合、この100円が株式の額面となる。
- 額面は、株式発行時に株主が会社に拠出する最低限の資金を示すために使われる。
- 会社の資本金は、この額面の合計金額に基づいて計算される。
拠出(きょしゅつ / Capital Contribution / Funding)
一般的な言葉の解釈
- 特定の目的のために、金銭や資産を出す(「誰か」が「誰か」に「何か」を出す)ことを意味する。
- 会社や会計、簿記の文脈では、主に会社に対して資金や資産を提供する行為を指す。
- 特に株主発行に関する場合は、「株主が会社に資金を提供すること」という意味での解釈となる。
会計・簿記における解釈
資本金の拠出
- 会社設立時や増資時に、株主が出資する資金(出資金)。
- 会社の貸借対照表では、「資本金」や「資本剰余金」として計算される。
基金・組合などの拠出
- 企業や組織が、基金や共済制度に資金を提供すること。
- 例:「退職給付のための拠出」、「共済制度への拠出金」
企業間の拠出
商品有高帳(しょうひんありだかちょう)
- 商品の在庫(数量や金額)を管理するための補助簿(補助元帳)。
- 商品の種類ごとに、受入・払出・残高を原価で記録する。
商品有高帳の目的
- 商品ごとの在庫管理(数量・金額の記録)。
- 仕入れや売上の記録と、在庫数の一致を確認する。
- 適正在庫を維持し、過剰在庫や品切れを防ぐ。
払出単価の計算方法
- 同じ商品でも仕入時点によって仕入単価(単位あたりの原価)が異なる場合があり、先入先出法と移動平均法の2種類の計算方法がある。
先入先出法(さきいれさきだしほう / FIFO: First-In, First-Out)
- 先に仕入れた商品から順番に払い出す(売上や出庫する)と仮定して計算する方法。
- 在庫の評価をおこなう際に、古い仕入単価を先に適用する。
移動平均法(いどうへいきんほう / Moving-Average Method)
- 仕入のたびに、在庫の平均単価を計算し直す方法。
- 売上(払い出し)時には、最新の平均単価を使って評価する。
- 平均単価は単純平均ではなく、加重平均として計算する。
単純平均と加重平均の違い
単純平均(Simple Average)
- 各データの値を合計し、データの個数で割る計算方法。
- 全てのデータを同じ重みで扱うため、個数(数量)の違いは考慮しない。
- 在庫管理には適さないが、簡単な分析に使われる。
単純平均の公式
単純平均 = (価格A + 価格B + 価格C + …) ÷ データの個数
例:(400円 + 500円 + 450円) ÷ 3個 = 450円
加重平均(Weighted Average)
- 各データに重み(数量)をかけて計算する方法。
- 仕入ごとに「単価 × 数量」の合計を、合計数量で割って算出する。
- 在庫の移動平均単価を計算する際に用いる。
加重平均の公式
加重平均 = {(単価A × 数量X) + (単価B × 数量Y) + …} ÷ 合計数量
例:{(400円 × 50個)+ (500円 × 10個) + (450円 × 50個)} ÷ (50個 + 100個 + 50個) = 460.0円
払い出し
- 保管していた商品や資材を外部に出すことを指す。
- 特に在庫管理や会計の場面でよく使われる。
例えば商品有高帳では、以下のように表現される。
- 仕入れ:「受け入れ」(在庫が増える)
- 売上:「払い出し」(在庫が減る)
なぜ「売上」と言わずに「払い出し」と表現するのか?
- 「売上」は販売の概念であり、「払い出し」は在庫の動きの概念だから。
- 「売上」はあくまで会計的な視点で「販売による収益」を指すが、「払い出し」は在庫管理の観点で「商品が出庫された」こをと示すため、「払い出し」という表現が使われる。
例えば、以下の場合でも「払い出し」となる。
- 例:社内で使うために倉庫から商品を取り出す(販売ではないが、在庫が減る)。
- 例:取引先へサンプル品を送る(売上ではないが、在庫が減る)。
「売上」と「払い出し」のまとめ
- 「売上」は会計・収益の概念。
- 「払い出し」は在庫・倉庫管理の概念。
- 在庫管理では、商品が出ることを一括して「払い出し」と表現する。
- 結果として、売上も在庫管理の観点からすると「払い出し」の一部となる。
売掛金元帳(うりかけきんもとちょう)・買掛金元帳(かいかけきんもとちょう)
- 企業の取引管理に用いられる補助簿の一種。
- 内容を集計し、総勘定元帳への転記に用いる。
- それぞれ売掛金や買掛金の詳細を記録するための帳簿。
- 取引先ごとに作成するのが一般的。
- 摘要欄に記載する内容はメモであり、正式な勘定科目ではなくても良い。
売掛金元帳の目的
買掛金元帳の目的
クレジット売掛金(くれじっとうりかけきん / Credit Accounts Receivable) ※資産勘定
- クレジットカードを利用した販売取引において、店舗(販売者)がカード会社(信販会社)に対して持つ売掛金(未回収の代金:資産)のこと。
クレジット売掛金の特長
- 通常の売掛金と異なり、回収リスクが低い(カード会社が支払うため)。
- 実際の入金にはタイムラグがある(月締めや週締めで処理される)。
- カード会社による手数料が発生する(利益率に影響する)。
なぜ資産なのか?
- クレジットカード払いで商品やサービスを提供した時点で売上が確定するが、現金の回収が後日になる。
- この状態は、カード会社に対する請求権(資産)を持っている状態になるため、資産勘定となる。
関連項目:支払手数料
- クレジット会社に対する手数料を計上する方法は、次の2つがある。
- 代金回収時に計上する方法(発生時処理)。シンプルなのでこちらが用いられることが多い。
- 商品販売時に計上する方法(見越し処理)。
手形(Promissory Note / Bill of Exchange)
- 一定の金額を将来の特定の日に支払う(または支払われる)ことを約束した有価証券。
- 取引や支払いを記録する際に使われ、信用取引を支える重要なツールの1つ。
- 約束手形(Promissory Note)と為替手形(Bill of Exchange)の2種類がある。
手形の目的と利用
手形は以下のような場面で使用される。
- 商品やサービスの代金の支払いを将来の日付に延ばす(信用取引)。
- 現金の代わりに使用する。
- 銀行を通じて手形を割引(現金化)することで、資金調達をおこなう。
簿記における記帳
手形には受取手形と支払手形の種類(科目)がある。
- 受取手形(資産):他人(支払人)が発行した手形を受け取った場合に記録する。
- 支払手形(負債):自分(振出人)が発行した手形を用いて代金を支払った場合に記録する。
手形と小切手の違い
- 手形:「将来の支払いを約束するツール」で、主に信用取引に利用される。支払日を先延ばしにしたいときに便利。支払先に対する支払いの強制力が強い(不渡りを出すと信用問題となるため)。
- 小切手:「即時支払いのツール」で、現金の代わりとなる。すぐに支払いたいときに発行する。
約束手形で用いられる日付
- 振出日:振り出し(発行)がおこなわれた日。
- 支払期日:手形の支払いを請求できる日(この日になったら取り立てて良いとされる日)。注意点として、「この日まで」ではなく、「この日になったら取り立て可能」という意味になる。
電子記録債権(Electronic Receivables / Electronic Monetary Claims)
電子記録債権は、従来の手形(約束手形・為替手形)や売掛金などの信用取引を電子化した債権のことで、電子記録債権記録機関(でんさいネットなど)を通じて管理される債権。
電子記録債権の特徴
- 電子化された債権:紙の手形とは異なり、発生・譲渡・消滅の管理が電子的におこなわれる。
- 手形に比べて安全性が高い:偽造・盗難・紛失のリスクがない。
- 分割・譲渡が容易:1件の債権を分割して譲渡可能。
- 期日に自動決済:取引銀行を通じて自動決済されるため、手形のような不渡りの心配が少ない。
- 割引(資金調達)が可能:手形のように金融機関で割引処理(資金化)ができる。
電子記録債権の仕訳例
電子記録債権の発生(売上取引)
例:1,000,000円の商品を販売し、電子記録債権を受け取った。
(借方)電子記録債権 1,000,000 / (貸方)売上 1,000,000
電子記録債権の決済(満期入金)
例:期日に決済され、銀行口座に入金された。
(借方)当座預金 1,000,000 / (貸方)電子記録債権 1,000,000
電子記録債権の譲渡(割引)
例:1,000,000円の債権を980,000円で金融機関に割引譲渡した(割引料20,000円)。
(借方)当座預金 980,000 /(貸方)電子記録債権 1,000,000
(借方)電子記録債権売却損 20,000
約束手形と比べた電子記録債権の優位性と今後
- 2025年現在、電子記録債権の方が主流になってきており、約束手形は2026年に廃止される予定。
- 約束手形のメリットはほとんどなくなり、電子化が加速している。
- ただし、一部の取引先や業界ではまだ約束手形が使われているケースもある。
有価証券(Securities)
- 一定の財産的価値を持つ証書(紙や電子データ)で、売買や譲渡が可能なものを指す。
- 例:株式、社債・国債、投資信託、手形・小切手、その他金融商品など。
株式
- 企業の株主になる権利を表す証券。
- 配当金の受取や売買で利益を得ることが可能。
社債・国債
- 社債:企業が発行する借入証書。
- 国債:国が発行する借入証書。
- 一定期間後に利息付きで元本が返済される。
投資信託
- 投資家から集めた資金を運用し、その成果を分配する金融商品。
手形・小切手
- 手形:将来の支払いを約束した証券。
- 小切手:即時決済が可能な証券。
その他の有価証券
- オプション(金融商品):特定の時点またはその前に、特定の価格(行使価格)で特定の資産(原資産)を買うまたは売る権利のこと。ただしオプションはあくまで「権利」であり、購入者はその権利を行使するかどうかを自由に決められる(義務ではない)。
- 先物取引(金融商品):将来の特定の時点(決済日)に、あらかじめ決められた価格(約定価格)で特定の商品や金融資産を売買する契約のこと。この取引は売買の約束を行う時点では現物の受け渡しがおこなわれず、決済日(または満期日)に契約が履行される仕組み。
- 公社債:国や地方公共団体、企業が資金を調達するために発行する債権の総称。発行者が投資者に対して一定期間後に元本を返済することと、期間中に利息を支払うことを約束する金融商品。
- 定期預金証書(Certificate of Deposit:CD):一般的な定期預金証書を指す。通常のCDでは満期まで解約できず、譲渡や売買ができない。
- 譲渡性預金(Negotiable Certificate of Deposit:NCD):「譲渡性」が付加されたCDを指す。市場で売買可能。日本で「譲渡性預金」と呼ばれるものは、NCDのことを指す。
借入証書(Loan Agreement / Promissory Note)
- 金銭を借りる際に作成される書面で、借り主(お金を借りる人)が貸主(お金を貸す人)に対して、借り入れた金額や返済条件などを明確に示す契約書の一種。
役割・目的
- 貸主にとって:貸した証拠として法的効力を持ち、返済が滞った場合の証拠になる。
- 借主にとって:借り入れの条件を明確にすることで、トラブル防止になる。
- 銀行や金融機関から借り入れを行う際にも作成されることが多い。
主な記載事項
- 借入金額:いくら借りるのか
- 借入日:いつ借りたのか
- 返済期限:いつまでに返すのか
- 利息の有無・税率:利息を付ける場合、その割合
- 返済方法:一括払い・分割払い・毎月の支払額など
- 担保や保証人の有無:必要な場合はその内容を記載する
- 貸主と借主の氏名・住所・押印
関連する文章との違い
- 借用書:借入証書とほぼ同じ意味だが、一般的には個人間の借入で使われることが多い。
- 金銭消費賃借契約書:より正式な契約書で、貸主と借主の双方が署名・押印をするもの。
- 約束手形:一定の期日に借主が貸主に対して支払うことを約束する証書。借入証書よりも金融取引に近い性質を持つ。
振出(振り出し)
- 手形を作成・発行すること。
- 手形を発行して支払う約束をする行為のこと。
- 振出人が自分の責任で手形を発行し、一定の期日に手形の金額を支払う義務を負う。
振出人
- 手形を振り出して(発行して)支払の義務を負う人や企業のこと。
- 振出人は、手形に記載された金額を期日に支払う責任がある。
- 約束手形の場合:振出人が直接、受取人に対して支払いを約束する。
- 為替手形の場合:振出人は、第三者(名宛人)に対して、受取人に支払うように指示を出す。
受取人
- 手形を受け取り、手形に記載された金額を受け取る権利を持つ人や企業のこと。
- 手形を受け取る側の当事者であり、振出人からの支払いを請求できる。
なぜ手形や小切手の発行を「振出」と表現するのか?
- 手形や小切手は「支払いの約束を記した証書を相手に渡す行為」だから。
- 手形や小切手は、発行者(振出人)が支払うことを約束し、それを受取人に渡すもの。
- つまり、「紙に記し、それを相手に向かって差し出す(振り出す)」という動作が、振出という言葉につながった。
- 江戸時代の商業において、手形(為替手形や割引手形)は取引の信用を保証するために使われてきた。その際に、手形を作成し相手に渡すことを「振出」と呼ぶようになり、これが現在の商法や会計用語にも残っている。
振出の語源と意味
- 「振出」は元々は日本語で「何かを外に向けて出す」という意味を持つ言葉。
- 「振る」+「出す」の組み合わせで「何かを提示する、発行する」という意味合いが強くなる。
- 古くから使われていた「振る」という動詞には、「揺らす」という意味だけでなく、「書面を作成する」や「指示を出す」といった意味合いがあった。例えば江戸時代には「手形を振る」という表現も見られた。
売掛金と未収入金の違い
- 基本的には、「本業かどうか(営業活動かどうか)」が区別のポイントとなる。
共通点
- どちらも企業が未回収の金額を計上するための勘定科目であり、資産(流動資産)に分類される。
- 将来的に回収する予定の金額であるため、現金ではなく「債権」として扱われる。
売掛金(Accounts Receivable)
継続的な営業取引による未回収金。
特徴
- 企業が本業(通常の営業活動)で発生させた売上に対する、未回収の代金。
- 定期的・継続的な取引により発生するケースが多い。
- 例えば、企業が商品やサービスを販売し、代金を後払いして請求している場合。
- 決算書では、当座資産(流動資産)に分類される。
具体例
- メーカーが小売店に商品を納品し、支払いは翌月末とする(掛取引)。
- IT企業が法人向けに定期的なシステム保守サービスを提供し、月末に請求。
未収入金(Accrued Revenue / Accrued Receivable)
営業活動以外の単発の未回収金。
特徴
- 通常の営業取引(本業の売上)以外で発生する未回収の金額。
- 単発・一時的な取引で生じることが多い。
- 例えば、不動産の売却代金や設備売却代金の未回収部分など。
- 決算書では、その他の流動資産(流動資産)に分類される。
具体例
- 会社が保有していた不動産を売却し、代金の一部が未回収。
- 会社が取引先に貸し付けた資金の返済がまだされていない。
- 株式を売却したが、決済が翌月になるため未回収。
買掛金と未払金の違い
- 買掛金と未払金は取り引きの性質によって区別される。
買掛金とは?
発生する場面
対象となる取引
仕訳例
- 小売業が仕入れた商品を掛けで購入した場合。
- 製造業が原材料を仕入れ、後払いにした場合。
- ポイント:会社が「販売を目的として扱うもの」「製造に使うもの」の仕入に関する未払は買掛金となる。
未払金とは?
発生する場面
対象となる取引
- 事務机・PCなどの備品購入
- 工場設備や機械の購入
- 広告費・外部発注費・保険料・税金などの支払い
- 消耗品費(ただし販売目的ではないもの)
- 光熱費・家賃などの固定費の未払い
ポイント
- 「販売のための仕入れ」や「製造に必要な原材料」以外の支払いは未払金になる。
一般的な例
例1:小売業の場合
- 商品(販売用)を仕入れ:買掛金
- 店舗のエアコンを購入:未払金
例2:製造業の場合
- 工場で使う原材料の仕入れ:買掛金
- 新しい機械を購入:未払金
例外的なケース
消耗品の購入は?
- 仕入れ用の包装資材・段ボール:買掛金(販売に関わるため)
- 事務用消耗品(コピー用紙・ボールペンなど):未払金
外部発注費は?
- 本業の一部の場合:未払金
- 製造業で一部の工程を外部発注した場合:未払金(仕入れではないため)
ソフトウェア開発における未払金
- ソフトウェア開発に必要なライブラリやツールを購入する場合は「未払金」に該当する。
理由
- 買掛金は一時的に「商品の原材料の仕入れ」に関連する未払金。
- ソフトウェア開発におけるライブラリやツールは「仕入れ」ではなく、業務を進めるための「必要経費」にあたるため、「未払金」として処理する。
具体例
- 開発ツールの購入:
- 例:IDE(総合開発環境)、デバッグツール、有料APIなど。
- 未払金となる(業務用のソフトウェアツールのため)。
- ライブラリやフレームワークの購入:
- 例:有料のUIコンポーネント、データ分析ツールなど。
- 未払金となる(仕入れではなく、開発のための費用となるため)。
- サブスクリプション型のサービス:
- 例:クラウド開発環境、GitHub Enterprise、クラウドAPI使用料など。
- 未払費用(経過勘定)となる(月額・年額の費用なので「未払金」ではなく、「未払費用」にする場合もある)。
例外的なケース(開発したソフトウェアをそのまま販売する場合)
- ソフトウェア開発の一環としてライブラリやツールを購入し、それが最終的に「商品」となる場合、企業の会計方針によっては「仕入れ」と見なされる可能性あり。
- ただし、一般的には「未払金」とすることが多い。
ソフトウェア開発において「買掛金」となる可能性があるケース
- 市販のソフトウェアを仕入れて、そのまま販売する場合:
- ソフトウェア開発会社ではなく、IT商社や販売代理店が「パッケージソフト」や「ライセンスを仕入れて販売」する場合、これは商品仕入れに該当するため買掛金となる。
- 仕入れたものを自社で使わず、顧客に販売する場合は「買掛金」となる。
- OEM(Original Equipment Manufacturing / 他社開発ソフトのカスタマイズ販売):
- 他社が開発したソフトウェアを自社製品として販売する(カスタマイズして販売する)場合も「買掛金」になる可能性がある。
まとめ
- 本業(販売・製造に直結する仕入れ)なら:買掛金
- 本業以外(備品・設備・サービス費用)なら:未払金
ROE(Return on Equity / 自己資本利益率 / 株主資本利益率)
- 株主が投資した自己資本(純資産)に対して、どれだけ効率良く利益を上げたかを示す指標。
- 企業の収益性や経営の効率を測るために用いられ、投資家にとって重要な判断材料となる。
ROEの計算式
ROE(%) = (当期純利益 ÷ 自己資本) × 100
- 当期純利益:当期において最終的に企業が得た利益
- 自己資本:株主が出資した資金や企業が蓄積した利益
ROEの目安
- 5%以下:効率が低いと見なさせる可能性あり
- 10〜15%:優良企業の基準
- 15%以上:非常に高い収益性
注意点
- ROEが高いことが必ずしも良いとは限らず、負債(借入金}を増やして自己資本を減らすことで、意図的にROEを高めるケースもある。
- そのため、他の指標(ROA、自己資本比率など)と合わせて分析することが必要。
資産一覧(Assets)
流動資産(りゅうどうしさん / Current Assets)
- 1年位内に現金化、または消費されると見込まれる資産のこと。
- 短期的な資金調達や支払いに関連している。
- 主に、当座資産、棚卸資産、その他の流動資産の3つに分類される。
当座資産(とうざしさん / Current Assets)
現金やすぐに換金可能な資産を指す。
- 現金・預金:現金、普通預金、当座預金など。
- 受取手形:商品やサービスの対価として受け取った手形。
- 売掛金:商品やサービスの売上代金で、まだ回収していない金額。
- 有価証券:短期売買目的の株式、国債、社債など。
- 前払費用:保険料や家賃など、次期以降に対応する費用の前払い分。
棚卸資産(たなおろししさん / Inventory Assets)
会社が販売や製造を目的として保有している資産。
- 商品:小売業・卸売業が販売目的で所有するもの。
- 製品:製造業にて完成した製品。販売前の状態。
- 仕掛品:製造途中の製品(まだ完成していないもの)。
- 原材料:製造の材料となる資材(例:製パン業の小麦粉)。
- 貯蔵品:消耗品や備品など、販売・製造目的以外の在庫。
その他の流動資産(Other Current Assets)
当座資産や棚卸資産以外で、短期間に現金化が見込まれる資産。
- 立替金:会社が一時的に立て替えたお金(例:従業員の出張費用の立替)。
- 仮払金:紫原金額が確定する前に一時的に支払った金額(例:会議費や接待費の概算払い)。
- 未収金:本業(主たる営業活動)とは関係のない取引で発生する、未回収の金額(例:固定資産の売却代金の未回収分や、貸付金の利息の未回収分など)。
- 未収入金:商品販売やサービス提供に関連する、営業活動から発生した売上代金の未回収分(例:商品を販売後に代金をまだ受け取っていない、サービスを提供したが、報酬をまだ受け取っていない、家賃収入が発生しているが、まだ回収していないなど)。
- 未収収益:受取利息や受取家賃など、既に発生しているが、まだ受け取っていない収益(収益に見えるが、実際にはまだ現金として受け取っていないため、「資産勘定」として処理される)。
- 仮想通貨(暗号資産):日本の会計基準では流動資産(その他の流動資産)に分類される。
固定資産(Non-current Assets)
- 企業が長期にわたって使用するために保有する資産を指す。
- 1年以上の期間にわたって使用されることが前提。
- 一般的に物理的な形態を持っているものが多い(物理的形態を持っていないものは、無形固定資産として扱われる)。
有形固定資産(ゆうけいこていしさん / Tangible Fixed Assets / Property, Plant, and Equipment / PP&E)
物理的な形態を持つ資産。
- 建物
- 土地(減価償却なし)
- 車両運搬具:社用車など。
- 工具・器具・備品:PC、机など。
- 機械装置
- 美術品・文化資産:企業が保有する絵画、彫刻など。
- 生物資産:農業関連において、家畜、果樹など。
- 鉱物資産:鉱物の埋蔵量に基づく資産価値。
- 石油・ガス資産
無形固定資産(むけいこていしさん / Intangible Fixed Assets)
物理的形態がないが、企業に長期的に価値をもたらす資産。
- ソフトウェア(自社利用目的)
- ソフトウェア仮勘定(開発途中のソフトウェア)
- 特許権・商標権
- のれん:ブランド価値、顧客関係、企業の評判、優れた従業員の存在など、目に見えない資産に対する評価。
- 開発費(資産計上が認められる場合)
- 研究開発に関する特定資産
- 再評価差額金(資産再評価による増加分)
繰延資産(くりのべしさん / Deferred Assets)
支出が発生した時点ではその効果(利益の発生)が一時的に明確ではないが、将来的に利益を得る可能性がある支出に関して一時的に資産として計上したもの。時間をかけて償却する資産。
- 創設費:会社設立にかかった費用(定款認証手数料、登記費用、設立総会の費用)。
- 開業費:会社設立後、営業を開始するまでの準備にかかった費用(例:広告宣伝費、従業員募集費、開業イベント費用)。
- 株式交付費:株式発行や増資時にかかった費用(例:証券会社への手数料、印刷費、登録免許税)。
- 社債発行費:社債を発行する際にかかった費用(例:引当手数料、印刷費、登録免許税)。
- 開発費(資産計上が認められる場合):収益を生む見込みが高い製品や技術の開発費用。ただし、条件を満たさない場合は費用処理(研究開発費)となる。
なぜ開発費が(条件によって)資産勘定なのか?
- 開発費は、会社が新製品や新技術の開発やソフトウェア制作などにかかったコストを指す。
- 資産として認識される理由は、将来の利益を生み出すことを期待されるため。
- 資産とは「将来の経済的な利益をもたらすもの」と定義される。開発費は、開発した製品や技術が成功すれば長期にわたり収益を生むため、「無形固定資産」として計上できる。
開発費を資産計上するための条件(日本基準の場合)
日本の会計基準では、以下の条件全てを満たした場合に開発費を資産計上できる。
- 将来の収益を生む可能性が高い:開発した製品や技術が、売上や利益に貢献する見込みがあること。
- 開発活動が明確に区分できる:研究段階(試行錯誤や実験など)と開発段階(具体的な製品や技術の完成を目指す段階が明確に分けられていること。
- 費用の測定が合理的におこなえる:開発費用を正確に把握できること。
- 財務的・人的なリソースが十分にある:開発プロジェクトを継続して完成させるための資金や人材が確保されていること。
有形固定資産と貯蔵品(棚卸資産)の「備品」の違い
「有形固定資産の備品」と「貯蔵品(棚卸資産)の備品」は使用目的や費用処理の方法が異なる。
有形固定資産の備品(Tangible Fixed Assets – Equipment and Fixtures)
概要
- 長期間(1年以上)使用する備品が対象。
- 企業活動で継続的に利用される資産で、収録価格が比較的高額なもの(通常は10万円以上)。
- 取得時には「資産」として計上し、耐用年数(Useful Life)に応じた減価償却をおこなう。
例
- PC、プリンター、机、椅子、金庫、大型業務機器など。
- 通常、取得価額が10万円以上のものが対象(会社の会計方針によって異なる場合がある)。
貯蔵品(棚卸資産)の備品(Supplies or Inventory for Non-Sales Use)
概要
- 消耗品や少額(通常は10万円未満)かつ短期間(1年未満)で使い切る備品が対象。
- 販売や製造目的ではなく、日常業務で使用するもの(例:販売や製造目的の「商品」や「原材料」の場合は、「流動資産」として計上)。
- 取得時には「費用」として処理するか、「貯蔵品」として一時的に資産計上し、使用時に費用化する。
例
- コピー用紙、文房具、工具、予備の小型備品(マウス、USBケーブル、電球、予備の椅子など)。
- 通常は取得価額が10万円未満のものが対象。
有形固定資産と貯蔵品の区別方法
使用期間で判断
- 1年以上使用する:有形固定資産
- 1年未満で使い切る:貯蔵品
取得金額で判断(日本の税法基準)
- 10万円以上:原則、有形固定資産
- 10万円未満:原則、消耗品または貯蔵品
※消耗品は「貯蔵品」に内包される概念である。消耗品は貯蔵品に含まれるが、実務上はあえて区別する場合がある。
使用目的で判断
- 継続的な営業運営に必要な設備や機器:有形固定資産
- 消耗品や予備の備品(頻繁に補充・交換するもの):貯蔵品
負債一覧(Liabilities)
流動負債(Current Liabilities)
1年以内に返済または精算が必要な負債。
- 短期借入金:金融機関からの1年以内に返済する借入金
- 支払手形:仕入先に対する手形による支払い義務
- 買掛金:仕入先に対する未払い代金
- 未払金:商品・サービス以外の未払い代金(例:備品購入代金)
- 未払費用:サービスの未払い分(例:未払いの家賃、利息)
- 前払金:商品・サービス提供前に受け取った代金
- 前受収益:サービス提供前の受取収益(例:前受家賃)
- 預り金:従業員の所得税・社会保険料の預り金
- 繰延税金負債:税効果会計で計上する将来の課税に備えた負債
- 未払法人税等:確定申告時の法人税・住民税・事業税の未払い分
- 未払配当金:株主への配当金の支払い義務
- 未払消費税等:消費税や地方消費税の未払い額
- 未払社会保険料:健康保険、厚生年金などの未払い分
- リース債務(流動):ファイナンス・リース契約における1年以内の支払義務
固定負債(Non-Current Liabilities / Long-Term Liabilities)
1年以上にわたって返済または精算される負債。
- 社債:企業が発行する長期の借入金に代わる資産調達手段
- 長期借入金:返済期限が1年を超える、金融機関からの借入金
- 退職給付引当金:将来の従業員退職時に支払う退職金の見積もり
- 賞与引当金:支給予定の賞与に備えた負債
- 繰延税金負債(長期):将来課税される金額に対する負債
- 資産除去債務:将来的な施設や設備の撤去・廃棄に伴う負債
- リース債務(長期):ファイナンス・リース契約における1年超の支払義務
- 役員退職慰労引当金:役員退任時に支払われる慰労金の見積もり
- 保証債務:他社の借入金の保証人になった際の見積もり負債
- 償却債務:公共施設の建設費などを負担した際の返済義務
その他の負債(Other Liabilities)
厳密には流動負債もしくは固定負債に含まれることが多いが、以下のようなケースで「その他の負債」として区別される場合がある。
- 引当金:将来発生する特定の費用に備える債務(例:修繕引当金、返品調整引当金)
- 営業外債務:本業以外の活動から生じる負債
- 仮受金:内容が未確定の一時的な受取金
- リスク引当金:訴訟リスクや損害賠償リスクに備えた引当金
- 外貨建負債:外貨で計上される借入金や買掛金
- 債務保証引当金:グループ会社や子会社などの借入に対する保証の見積もり
- 従業員持株会預り金:従業員持株会に関連する預り金
引当金(Provision)とは?
- 将来に発生する可能性が高い支出や損失に備えて、あらかじめ費用や負債として計上する金額のこと。
- 実際にはまだ発生していない段階で計上する。
- 未来に備えるための「見積もり負債」のようなもの。
「引当」の言葉の由来
- 「弓を引き」、「未来の的に当てる」といったイメージで覚える。
「引」:動きや方向性を示す
- 「引く」は本来「弓を引く」動作を表す漢字。
- 「引く」という動きは「手前に引き寄せる」「取り出す」「割り当てる」という意味合いがある。
- 簿記では、資産や利益の中から特定の目的に金額を引き出す、または割り当てるイメージ。
「当」:目的地に当たる
- 「当てる」は「的を射る」「何かにぴったり合う」という意味がある。
- 「充当する」「割り当てる」という言葉でも使われるように、特定の目的に金額や資源を向ける意味を持つ。
純資産(Net Assets / Equity / Total Equity)
- 資産から負債を差し引いた残りの部分。
- 会社や個人が持っている「実質的な財産の総額」。
計算式
純資産(Net Assets) = 資産(Assets) - 負債(Liabilities)
純資産の役割と重要性
- 企業の健全性を示す指標:純資産が多いほど、その企業は負債に依存せず、健全な経営をしているといえる。
- 株主の持ち分を表す:株主から見れば純資産は「会社に対する自分の権利・持分(株主資本)」。
- 継続企業価値の判断材料:純資産がマイナスの場合、「債務超過」となり倒産リスクが高まる。
株主から見た純資産とは?
- 株主にとって純資産とは、会社に出資して得られる「会社に対する自分の権利・持ち分」のことを指す。これを株主資本(Shareholders’ Equity)という。
- 株主は会社の純資産のうち「資本金等の部分」を自分の持ち分と考えることができる。
例:ある会社に100万円を出資し、会社の資産と負債が次のような状況の場合
- 資産(現金・設備など):1,000万円
- 負債(借入金など):400万円
- 純資産:1,000万円 − 400万円 = 600万円
この600万円が株主全員の「持ち分」に相当する。自身が株式を10%持っているなら、600万円のうち60万円が自身の持ち分となる。
純資産一覧
資本金等
会社が事業活動のために、株主から調達した資金や利益の蓄積を示す。
- 資本金:株主が会社に出資した元本に相当する部分。会社の設立や資金調達時に計上される。
- 資本剰余金:資本金以外で、主に資本取引から生じた剰余金(余剰資金)のこと。
- 資本準備金:資本剰余金の一部で、資本金に準ずるものとして法令で一定額を積み立てることが義務付けられている。
- その他資本剰余金:資本取引(株式発行のプレミアム部分など)から生じた剰余金で、資本準備金に該当しないもの。
- 利益剰余金:事業活動の利益から生じた蓄積。会社が稼いだ利益を配当せずに、内部留保することで増える。
- 利益準備金:会社法で積み立てが義務付けられている部分。資本の補強を目的とする。
- その他利益剰余金:利益準備金以外の利益剰余金。内部留保の自由な積立金や繰越利益剰余金が含まれる。
- 任意積立金(例:別途積立金、設備投資積立金):会社が将来の設備投資や特定の目的に備えて任意に積み立てるもの。
- 繰越利益剰余金:特定に目的に使われていない剰余金で、次期以降に繰り越されるもの。
- 自己株式(控除項目):会社が自社株を取得した場合に計上するマイナス項目。自己株式には議決権がなく、純資産から控除される。
評価・換算差額等
資産や負債の評価額が変動した際の、評価差額や換算差額を反映する項目。
- その他有価証券評価差額金:有価証券(株式や債権)の時価と簿価の差額を計上する。時価の変動による評価益・損がここに入る。
- 繰延ヘッジ損益:ヘッジ取引の評価差額を計上する項目。ヘッジ取引とは、為替リスクや金利変動リスクを回避するための取引。
- 為替換算調整勘定:海外子会社の財務諸表を円換算する際の差額を計上する。
- 土地再評価差額金:土地再評価による差額を計上し、評価額の増減が反映される。
- 新株予約権:株主や従業員が一定条件で将来株式を取得できる権利。ストックオプションとして利用されることが多い。
- 非支配株主持分(連結財務諸表の場合):連結子会社の純資産のうち、親会社以外の第三者が持っている持分を指す。親会社にとっては支配権のない持分となる。
消費(しょうひ)と費消(ひしょう)の違い
- 消費(しょうひ / Consumption):一般的に「何かを使う」「消費する」という意味で、日常的な文脈でも使われる。
- 費消(ひしょう / Expense / Expenditure / Consuming):会計用語として特に使われる。「費消」とは「資産が使用されて、その価値が減少すること」を指す。主に資産が使われることで、その価値が消えていく過程に焦点を当てた言葉。
会計文脈での「費消」
- 簿記や会計では「費消」という言葉を使うことで、資産が使われることや、その価値が減少することを表現する。
- この言葉は、資産が最終的に費用に振り返られる過程やその影響を考慮しているため、消費よりも会計的に厳密で、経済的な変化を強調する場面で用いられる。
簿価(ぼか / Book Value)
- 帳簿上の価格のこと。購入時や取得時の価格(取得原価)に基づいて記録されている金額。
- 例えば株式を100万円で購入した場合、その購入価格が簿価。しかし、時価(市場価格)は日々変動する。
- もし市場価格が120万円に上がっていれば、時価は簿価よりも20万円高いことになる。この差額を「評価差額」として計上するのが、その他有価証券評価差額金。
簿価と時価
- 簿価:過去に取得したときの価格。帳簿に記載される金額。
- 時価:現時点での市場価格。
収益(Revenue / Sales / Income)
- 企業が本来の営業活動や資産の運用などを通じて得た、経済的利益の増加を指す。
- 簡単に言えば、お金が入ってくる原因となるもので、企業の純資産を増加させる要因。
- 損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)において、利益を計算するための重要な要素。
収益一覧
営業収益(本業の活動による収益)
企業の主な事業活動から得られる収益。業種により内容は異なるが、基本的には売上高が中心となる。
- 売上高:商品や製造を販売した対価(例:小売業の売上、製造業の製品売上)
- 役務収益(えきむしゅうえき):サービス提供による収益(例:物流業の運送料、コンサル業の報酬)
- 手数料収入:仲介や斡旋(あっせん)などのサービスに対する報酬(例:不動産仲介手数料)
営業外収益(本業以外の活動による収益)
- 受取利息:銀行預金や貸付金から得られる利息収入
- 受取配当金:保有する株式から得られる配当金収入
- 雑収入:その他の小さな収益(例:不用品の売却益、研究費の負担金など)
特別利益(一時的な特殊要因による収益)
企業の日常的な活動とは異なる特別な出来事による収益。臨時的な性質を持つため、通常の収益とは区別される。
- 固定資産売却益:建物や土地などの固定資産を売却したときの収益
- 投資有価証券売却益:株式や債券を売却したときの収益
- 債務免除益:債権者から債務を免除された際に生じる収益
売上(Sales / Individual Sale / Transaction)と売上高(Sales Revenue / Total Sales)の違い
売上(個別の売上)
- 個々の取引で得られる収益を指す。
- 例:1月1日に商品Aを1,000円で販売した場合。この1,000円が「売上」。
売上高
- 一定期間(通常は月、四半期、年度など)における売上の合計額を指す。
- 決算書(損益計算書)に記載されるのは「売上高」。
- 例:1月1日〜1月31日にの全ての売上を集計。合計100万円がその月の「売上高」。
費用(Expense / Cost)
- 企業が利益を得るために使ったお金や、価値が減少したものを指す。
- 会計では「収益を得るために発生したコスト」を「費用」として認識し、企業の損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)に計上する。
費用の特徴
収益を得るために必要な支出は費用として計上する
- 例:商品を販売するために仕入れたコスト(売上原価)。
発生主義で認識される(お金の支出とはズレることがある)
- 支払い時点ではなく、「発生した時点」で計上する。
- 例:12月分の電気代を翌年1月に支払っても「12月の費用」。
資産とは異なる
- 支出しても価値が残るもの:資産
- 支出後に価値が減るもの:費用
- 例:コピー機(長期間使う)は資産。
- 例:紙やインク(消耗品)は費用。
補足
- 費用は「支出(お金の支払い・支払った時点の現金主義)」や「損失(予期しない損害・特別な減少)」とも異なる。
費用一覧
売上原価(売上に直接関係する費用)
売れた商品の原価:仕入原価、製造原価のうち販売された分。
- 小売・卸売業:商品の仕入れ価格
- 製造業:製品をつくるためのコスト(材料費、労務費、製造経費など)
- サービス業:提供するサービスに直接関連するコスト(人件費、外注費、材料費、施設維持費、道具・機器などの減価償却費、消耗品費、ソフトウェアやライセンス費)
販売費および一般管理費(販管費)
営業活動に関連する費用(売上原価以外の費用)。販売費と一般管理費に分類する。
販売費(商品・サービスを売るための費用)
- 広告宣伝費:テレビCM、Web広告など
- 販売手数料:クレジットカードの手数料など
- 交際費:取引先との接待や贈答品
一般管理費
- 役員報酬:取締役や監査役などの役員に支払われる報酬(給与とは異なり、株主総会や取締役会で決定)
- 従業員給与:会社の従業員に支払われる給与・賞与(労働契約や就業規則に基づいて支給)
- 事務用品費:オフィスで使う文房具やプリンター用紙など
- 旅費交通費:取引先訪問や出張の費用
- 減価償却費:建物や設備の購入費を分割して計上
営業外費用(本業以外の費用)
本業とは関係ないが、会社として発生する費用。
- 支払利息:借入金の利息
- 為替差損:海外取引の為替レート変動による損失
- 投資関連損失:株式や債券の評価損など
特別損失(臨時の損失)
通常の営業活動とは関係のない、大きな一時的な損失。
- 災害損失:火災や地震による損害
- 減損損失:資産価値の大幅な下落による損失(資産の価値が大きく下がり、回収が困難になったときに計上する損失。主に不動産、設備、ソフトウェア、株式、事業資産 などで発生し、企業の財務状況にも大きく影響)
- 構造改革費用:事業の再編に伴う費用(リストラ費用など)
諸口(しょくち / Sundry / Sundry Account)
- 仕訳において複数科目をまとめて処理する際に使用する、便宜的な表現。
- 特に、複合仕訳(仕訳の借方・貸方に複数の勘定科目がある仕訳)で用いられる。
- 正式な帳簿では諸口のままではなく、各勘定科目に分けて記録する必要がある。
例:借方が複数の場合
通常の仕訳
備品 30,000 / 現金 50,000
消耗品費 20,000 /
諸口を用いた仕訳
諸口 50,000 / 現金 50,000
- 借方に備品と消耗品費の2つの科目があるため、簡略化して「諸口」と表現できる。
- この場合、諸口は「備品 30,000円」と「消耗品費 20,000円」をまとめたものを指す。
例:貸方が複数の場合
通常の仕訳
売掛金 100,000 / 現金 40,000
/ 普通預金 60,000
諸口を用いた仕訳
売掛金 100,000 / 諸口 100,000
- 諸口は「現金 40,000円」と「普通預金 60,000円」の合計を示す。
諸口のメリット
- 仕訳を簡潔に記述できる。
- 取引の全体像をシンプルに把握しやすい。
諸口の注意点
- 実際の帳簿には個々の勘定科目ごとに記録されるため、諸口は主に仕訳を簡潔に書くための表現。
- 諸口が指す具体的な勘定科目を、明確に把握しておく必要がある。
小口現金(こぐちげんきん / Petty Cash)
企業や組織が日常的な少額の支払い(例:文房具の購入、交通費、軽微な接待費など)を迅速に処理するために用意する現金のこと。金額に明確な定義はないが、一般的な企業や組織では1回あたり数千円〜数万円程度が小口現金で利用される。
小口現金の特徴
少額の経費支払いに使用
- 銀行振込や通常の経費精算が煩雑になるような少額の支払いに使用される。
- 例:コピー用紙代、郵送代、タクシー代など。
インプレストシステム(定額資金前渡制)が一般的
- あらかじめ一定額の小口現金を用意し、使用後に使った分だけ補充する方式が多い。
- 例:最初に5万円を用意し、2万円を使用したら2万円を補充する。
専任の管理者(小口現金係)が管理する
- 小口現金の出納管理は通常、専任の担当者がおこない、領収書を保管する。
- 企業によっては、経理部が定期的にチェックをおこなうこともある。
仕訳処理が必要
小口現金を用意する際の仕訳
(借方)小口現金 5,000 / (貸方)現金 5,000
小口現金を使用した際の仕訳(例:文具代 1,000)
(借方)消耗品費 1,000 / (貸方)小口現金 1,000
小口現金のメリット・デメリット
メリット
- 少額の支払いをスムーズに処理できる(従業員による立替が不要になる場合もある)。
- 都度、銀行に行かずに済む。
- 経費精算の手間を軽減できる。
デメリット
- 現金の管理が必要(盗難・紛失リスク)。
- 不正使用やミスが発生しやすい。
- キャッシュレス化が進む中で、企業によっては廃止傾向もある。
最近では小口現金の管理負担を減らすために、プリペイドカードや経費精算システム(電子マネー・QR決済)を活用する企業も増えている。
前期繰越(ぜんきくりこし / Balance Brought Forward / BF)
前期(前の会計期間)の決算時点での残高を、当期(次の会計期間)の開始時点に引き継ぐことを指す。
具体的な意味
貸借対照表(BS)の繰越
- 資産、負債、純資産の各勘定は決算後も引き続き残るため、前期の残高を当期へ繰り越す。
- 例:前期末の「現金」勘定が1,000,000円だった場合、当期の開始時点でも「前期繰越」として1,000,000円が引き継がれる。
損益計算書(PL)の繰越
- 損益計算書(PL)に含まれる収益・費用の勘定は、決算時に「損益勘定」へ振り替えられ、最終的に「繰越利益剰余金」などの勘定へ計上される。
- そのため、通常は損益計算書(PL)の収益や費用の勘定は繰り越されず、翌期はゼロからスタートする。
前期繰越の仕訳例
前期末の貸借対照表の「現金」残高が1,000,000円の場合、次の期の仕訳は以下のようになる。
前期末(決算時の締め仕訳)
(借方)次期繰越 1,000,000 / (貸方)現金 1,000,000
当期首(次期の開始時)
(借方)前期繰越 1,000,000 / (貸方)現金 1,000,000
次期繰越(じきくりこし / Balance Carried Forward / CF)
決算時点での資産・負債・純資産の残高を、翌期(次の会計期間)へ引き継ぐことを指す。
次期繰越の具体的な流れ
1.決算整理(締め切り)
企業の会計期間が終了する決算時に、全ての収益・費用の勘定科目を整理し、最終的な財務諸表を作成する。
- 収益・費用は当期の損益計算書(PL)に反映された後、「損益勘定」を通じて純資産へ振り替えられる。
- 資産・負債・純資産の勘定科目は、翌期へ引き継ぐため「次期繰越」として記帳される。
2.帳簿の締め切り
- 収益・費用の勘定(損益勘定)はゼロにする。
- 資産・負債・純資産の勘定は、「次期繰越」として記録される。
3.次期の開始(繰越処理)
- 前期末の「次期繰越」として残した資産・負債・純資産を、新しい会計期間の期首残高として記帳する。
具体例
期末時点の貸借対照表(BS)に以下のような残高があった場合
現金 500,000
売掛金 1,000,000
買掛金 700,000
資本金 800,000
利益剰余金 0円(当期利益ゼロと仮定)
決算整理後に、以下のような「次期繰越」を記帳する。
次期繰越の仕訳
(借方)次期繰越 2,200,000 / (貸方)現金 500,000
/ (貸方)売掛金 1,000,000
/ (貸方)買掛金 700,000
/ (貸方)資本金 800,000
次の期の開始時には、同額を逆仕訳して、新しい期の帳簿に資産・負債・純資産を反映させる。
ポイント
- 「次期繰越」は資産・負債・純資産の勘定に適用され、収益・費用には適用されない。
- 繰越処理によって、次期の帳簿が前期の状態を引き継ぐ形でスタートできる。
繰越試算表(くりこししさんひょう / Post-Closing Trial Balance)
前期(前月・前年など)の決算数値を翌期(翌月・翌年など)に引き継ぐために作成される試算表のこと。
繰越試算表の目的
- 次の会計期間の残高を確認する:前期の貸借対照表(BS)の各勘定科目の金額を、そのまま次期の開始残高として引き継ぐ。
- 誤りがないかチェックする:繰越される金額に誤りがないか確認するため。
- 次の会計処理の基準となる:企業が継続して会計処理をおこなうための基礎データとして活用。
繰越試算表の構成
- 基本的には貸借対照表(BS)の資産・負債・純資産の項目を引き継ぐ。
- 一方で、損益計算書(PL)の勘定科目(売上、費用など)はリセットされ、ゼロから始まる。
繰越試算表の作成の流れ
- 決算整理後の残高試算表を作成(前期の締め作業)。
- 貸借対照表の各勘定科目を翌期の開始残高として繰り越す。
- 損益勘定(売上や費用など)はリセットされる、繰越利益剰余金などに振り替えられる。
- 新しい会計期間の最初の試算表として使用する。
仮受消費税(かりうけしょうひぜい / Output Tax / Sales Tax Payable) ※負債勘定
- 企業が売上(商品・サービスの販売)時に顧客から受け取る消費税のこと。
- 企業が一時的に預かっているため、最終的には税務署に納める必要がある。
- そのため、負債(流動負債)として計上される。
仮受消費税の仕訳:現金売上の場合(税率10%)
100,000円の商品を現金で販売し、消費税10,000円を受け取った場合。
(借方)現金 110,000 / (貸方)売上 100,000
/ (貸方)仮受消費税 10,000
- このうち10,000円は消費税であり、企業の収益ではない。
- そのため、企業の負債(仮受消費税)として計上する。
仮受消費税の仕訳:掛け売上(売掛金)の場合
同じく100,000円の商品を掛け売り(後払い)した場合。
(借方)売掛金 110,000 / (貸方)売上 100,000
/ (貸方)仮受消費税 10,000
- 売掛金は後日に入金されるが、受け取った消費税10,000円は企業のものではなく、納税義務が発生する。
仮払消費税(かりばらいしょうひぜい / Input Tax / Sales Tax Receivable)
- 企業が仕入や経費を支払う際に負担した消費税のこと。
- 後で仮受消費税と相殺(控除)できるため、資産として計上される。
- 一時的に負担するが、最終的に納付税額の計算時に控除される。
決算振替仕訳における「損益」と「次期繰越」の使い分け
- 損益:収益・費用をリセットするために使う(損益計算書の整理)
- 次期繰越:資産・負債・純資産(資本)をよく機に引き継ぐために使う(貸借対照表の整理)
決算振替仕訳における「損益」
- 目的:収益・費用をリセットし、純利益(または純損失)を計算するために使う。
- 使う場面:損益勘定(損益振替仕訳)で、各収益・費用勘定を「損益」に振り替える。
仕訳例:収益を振り替える
収益の減少(借方)
売上 100,000 / 損益 100,000
仕訳例:費用を振り替える
費用の減少(貸方)
損益 80,000 / 仕入 50,000
損益 30,000 / 給料 30,000
この結果、損益勘定に「純利益(または純損失)」が計上される。
決算振替仕訳における「次期繰越」
- 目的:資産・負債・純資産の各勘定を翌期に持ち越すために使う。
- 使う場面:貸借対照表の各勘定(資産・負債・純資産)を「次期繰越」へ振り替える。
仕訳例:資産・負債・純資産を次期に繰り越す
現金 50,000 / 次期繰越 50,000
売掛金 30,000 / 次期繰越 30,000
次期繰越 20,000 / 買掛金 20,000
「次期繰越」は翌期の「繰越試算表」に引き継がれる。
「損益」と「次期繰越」の使い分けまとめ
- 損益計算書(PL)を締めるために「損益」勘定を使う。
- 貸借対照表(BS)の残高を翌期に持ち越すために「次期繰越」を使う。