GoodNotes 5からGoodNotes 6へのアップデートに伴い、ユーザーインターフェイスが変わりました。レイアウトが変更された要素もあり、その使用感について感想を書き出してみました。
2023年8月に感じた使用感と現時点(2024年3月)での使用感のメモです。アプリケーションのインターフェイス設計に活かすことを意図しています。
前提
- GoodNotesは大好きで、とても良いアプリだと思っている。
- ほぼ毎日使っている。iPadアプリの中で使用頻度が最も高い。
- iPad Pro(12.9インチ)で使用。
GoodNotesはすごく良いアプリだと思っています。ほぼGoodNotesとProcreateのためにiPadを使っているのではと思うほどです。使いやすく、開発チームに感謝しています。その前提の元で使用感やユーザーインターフェイス設計について、好きかどうかとは切り離して感じたことを書き出してみます。
ペンジェスチャー(こすって消去、囲んで選択)
2023年8月時点(第一印象)
- ペンジェスチャー(こすって消去、囲んで選択)は便利ですごく良さそう。期待大。
2024年3月時点(6ヶ月使用後)
- 「こすって消去」というアクションが面白い。便利な場面もある。
- 実際にはペンジェスチャー(こすって消去、囲んで選択)はあまり使っていない。消しゴムツールを選択して消すことが多い。
- 囲んで選択機能は反応速度が遅く、誤操作しやすいのでほぼ使っていない。範囲選択をするときは、なげなわツール(選択ツール)を使ったほうが早い。
- その後、ペンジェスター(こすって消去、囲んで選択)は誤操作防止のため機能をオフに設定。
インターフェイス設計に活かす観点
- 1つのアプリだけの特殊操作は、そのアプリ単体では便利であっても抵抗があるようだった。デバイスやOSを横断して複数のアプリを使うので、そのアプリにしかない特殊な操作方法には抵抗ががあるのかもしれない。全体的な使い勝手や作業効率を優先したくなる。
- 例えばiPad用アプリのProcreateで何かを消したいときには、消しゴムツールに切り替える。操作方法はなるべく合わせたい。
- レスポンスの速さは重要だと感じた。機能としてはすごく良いので使いたいが、レスポンス速度によって従来の操作のほうが早く操作できている状態。
サイドバー表示によるファイル一覧性の低下
2023年8月時点(第一印象)
- メニューがサイドバー表示になって領域占有率が増えたのが不思議(macOSやiPadOSに近付けた?)。
- これから項目数を増やすのかもしれないが、現時点では表示領域がもったいなく感じる。GoodNotes 5のほうが使いやすかった。
- 検索をサイドバーに含めたUI(ユーザーインターフェイス)設計は、検索までのステップが増えてしまうので疑問に感じる。
- サイドバー式のUIにするなら、検索領域は常時右上に表示のほうが使いやすいと感じた。
2024年3月時点(6ヶ月使用後)
- フォルダにアイコンが付けられるようになったのは便利。
- 最近のアップデートでファイル移動のレスポンスが良くなっていると感じていて、これがとても良い!
- 第一印象で感じた懸念はそのまま続いていて、GoodNotes 5のほうが使いやすかった。
- サイドバーの領域はスペースがもったいなく感じる。サイドバーの扱いは、iPadOSのファイルアプリやミュージックアプリのインターフェイス設計に近付けている?
- サイドバーを非表示にして、書類一覧でより多く表示できたほうが便利。
- サイドバーの非表示設定はできるが、アプリを再起動したときなどでサイドバー表示に戻ってしまうので、この点はGoodNotes 5のほうが使いやすかった。
インターフェイス設計に活かす観点
- 書類一覧は最もよく使うページであり、一覧性が重要。
- これまで表示されていたもの(件数)が表示されなくなったことへのストレスが大きい。
- 操作性や効率が下がってしまう変更は厳しいと感じた。
- 「サイドバー非表示の固定化」と「検索ボックスを書類ページに表示するレイアウト」が実現されれば、恐らく使用感は以前と同様に維持できていた。今後の改善に期待。
- iPadのミュージックアプリはアーティストやアルバムの各ページごとにフリーワード検索ボックスがあるので、タップ数が1つ少なくて済む。
検索ボックスのレイアウト・使用感
2023年8月時点(第一印象)
- サイドバーを非表示で使いたいが、検索するために2ステップかかるのでGoodNotes 5のほうが使いやすかった。
- GoodNotes 5のUIから検索機能はモーダル的な遷移になっていたが、さらに奥まってしまった。
- 手書き検索もできて検索機能としては素晴らしいので、もっと気軽に使えるインターフェイス設計だと嬉しい。
- 書類の画面に検索領域があってほしい。
- もし検索ボタンでアクセスするなら、検索ボタンを押した時点で、すぐに入力できるように入力フィールドにフォーカスしておいてほしい。
2024年3月時点(6ヶ月使用後)
- 手書き文字が検索対象になるのが素晴らしい!
- 検索履歴がサムネイル表示されるので、見やすくて良い。
- 最短でも2ステップ必要になるため、検索ボックスからのフリーワード検索はほぼ使っていない。サイドバー表示にすると検索するまでに3ステップかかる。
- 昔に書いたメモからキーワードで検索したいときに使う程度。
- 手書き文字も検索対象になるというGoodNotesならではの素晴らしい検索機能なので、検索がより使いやすい導線になってくれると嬉しい。
インターフェイス設計に活かす観点
- 手書き文字の検索が便利。
- 検索が使えるまで2ステップ以上かかると、極端に使いにくくなる(ほぼ使わなくなる)印象。手書き文字が検索できるというすごく良い機能があるので、もったいない。
- 検索ボックスは1ステップでアクセスできるようにしたい。
- できれば検索ボックスが常時表示されていることが理想。
- 虫眼鏡アイコンで表示する場合は、ボタンタップ時に検索ボックス内でフォーカスされてすぐに文字入力できると使い勝手が良くなる。
アンドゥ(undo)・リドゥ(redo)の位置変更
2023年8月時点(第一印象)
- アンドゥ(undo)、リドゥ(redo)ボタンを右上から左上に変えたのは大きな変化。これもブラウザに近付けたUI設計? 慣れるまでに時間がかかるかも。
- 無意識に右側にボタンがあると思って操作しようとしてしまう。
- 多くのユーザーが頻繁に使うと思われるボタンを大胆にレイアウト変更したことが印象的。
2024年3月時点(6ヶ月使用後)
- アンドゥ(undo)、リドゥ(redo)ボタンのレイアウト変更には慣れた。
- 今は左上にあって特に違和感なく使っている。
- 設定によって右上に変更もできるのが親切。
インターフェイス設計に活かす観点
- 設定から以前のレイアウトに戻せるようになっているのがすごく良い配慮だと感じた。この親切設計を見習いたい。
- ペンを右手で持って右側にあるボタンを押そうとするとiPad本体の段差を気にする必要があるので、結果的にボタンが左側にあることで使いやすくなっているのかもしれない。
まとめ
2023年8月と2024年2月の使用感について比較してみました。
便利機能だと期待していたペンジェスチャーは、反応速度の遅さもあって思ったより使っていませんでした。レスポンスの速さは重要だとあらためて感じました。
サイドバー表示によって表示領域が狭くなったことは、6ヶ月経っても使い心地に影響している印象です。
一方でアンドゥ(undo)、リドゥ(redo)ボタンのレイアウト変更には慣れていました。操作体系が大きく変わる変更だったにも関わらず、使い続けていくことで慣れていたようです。
アンドゥ(undo)、リドゥ(redo)ボタンのレイアウト設定やツールバーのカスタマイズなど、操作方法をユーザーが任意に設定できるようになっている配慮が親切で素晴らしいと思います。